Perio 歯周病治療

歯周病治療とは PERIO

歯周病とは

歯周病は、歯と歯肉のすき間に付着した歯垢や歯石に潜む細菌が、歯肉など歯の周りの組織に炎症を引き起こす病気です。
症状が進行し、歯の周りの歯肉や骨が炎症によって破壊され続けると、歯は支えを失い、最悪の場合には抜け落ちてしまいます。

歯周病の原因と進行

歯周病の進行は『P』(Periodontal Diseases)で表し、その度合いによって大きく4つに分けられます。

  • P1
    歯肉炎

    P1歯肉炎

    歯と歯肉の間に歯垢が溜まることで、歯肉が炎症を起こし、赤く腫れた状態です。歯肉が腫れているため、歯磨きの際に出血することがあります。
    歯と歯肉の境目には、『歯周ポケット』とよばれる溝があります。健康な歯肉では歯周ポケットの深さは2mm以内ですが、歯肉に炎症が起きると3mmほどの深さになります。
    このように歯肉に炎症が起きている状態を『歯肉炎』といいます。

  • P2
    軽度⻭周炎

    P2軽度⻭周炎

    歯周ポケット内に歯垢がさらに溜まるようになると、炎症は歯肉だけでなく歯の周りの線維や骨にまで及ぶようになります。歯周ポケットは3~5 mmとやや深くなり、歯肉からの出血が増え、起床時にお口の中にネバつきを感じるようになります。
    炎症が骨にまで及んだ状態を『歯周炎』といい、歯周ポケットの深さが5mmまでの段階を『軽度歯周炎』と診断します。

  • P3
    中度⻭周炎

    P3中度⻭周炎

    歯周病による炎症が進行し、歯を支える骨が歯根の近くまで破壊されると、歯がぐらつくようになります。また、歯肉の腫れが悪化し、膿が出たり口臭が強くなったりします。
    歯周ポケットは5~7mmの深さになり、歯肉や骨が後退して歯が長くなったように見えます。この段階になると『中度歯周炎』と診断します。

  • P4
    重度⻭周炎

    P4重度⻭周炎

    炎症によって歯を支える骨が歯根部分まで破壊されるようになると、歯は大きく揺れ、抜け落ちる寸前の状態になります。
    歯周ポケットは7mm以上の深さになるため歯根が露出し、さらに歯が長くなったように見えます。この段階になると『重度歯周炎』と診断します。治療しても状態を改善するのが難しく、抜歯となる場合もあります。

歯周病と全身疾患とのかかわり
歯周病と全身疾患とのかかわり

近年、臨床研究の結果から歯周病の原因菌が歯肉から血管を通って血液に流れ込むことにより、糖尿病や心疾患、脳梗塞、早期低体重児出産などの全身疾患を引き起こす可能性があることが明らかになっています。
お口の健康だけでなく、全身の健康のためにも歯周病に気づいたらできるだけ早く治療を始めることが大切です。

薬で治す歯周病

薬剤で歯周病の原因となる細菌を取り除く、内側からのアプローチ

薬剤で歯周病の原因となる細菌を取り除く、内側からのアプローチ

歯周病の治療は、歯周病の原因となる歯垢や歯石を徹底的に取り除き、歯周病の原因菌が繁殖しないようにすることが基本です。
しかし、この基本の治療だけでは症状が改善しない場合もあります。当クリニックでは、薬剤で歯周病の原因菌を取り除く内科的治療を併せて行なうことで、治療の効果を高めています。

歯周病の内科的治療方法

歯石をスケーラーで削ったり、歯肉を切開する手術を行なうといった「外科的」な治療方法とは異なり、「歯周病は細菌による感染症である」という認識のもと、歯周病の原因となる細菌を特定し、その菌を取り除くための薬剤を用いて「内科的」に歯周病を改善する治療方法です。

  • 細菌の除去に適した薬剤の内服
    細菌の除去に適した薬剤の内服

    風邪をひいたときに解熱剤や鎮痛剤を服用するのと同じように、薬を服用することによって歯周病を改善していくことが、『歯周病内科治療』の特徴です。
    歯周病内科治療で服用する薬には、歯周病の原因となる細菌を取り除き、繁殖を抑える効果があります。そのため、歯肉からの出血や膿の排出といった症状を短期間で改善することが期待できます。

  • 位相差顕微鏡でお口の中の菌を検査
    位相差顕微鏡でお口の中の菌を検査

    歯周病にかかっている患者さんのお口は、一人ひとり異なる細菌に感染しています。
    歯周病内科治療では、まず『位相差顕微鏡(いそうさけんびきょう)』を使用して、患者さんのお口の中の細菌を検査します。
    患者さん一人ひとりの歯周病の原因となっている細菌の種類や数、動きなどを調べたうえで、その細菌を取り除くために有効な薬剤を処方します。

  • 歯周ポケットの除菌
    歯周ポケットの除菌

    歯周病内科治療では、内服薬による除菌・抗菌だけでなく、歯周ポケットに薬剤を直接作用させることによる除菌も行ないます。
    歯周ポケット内は、歯垢が溜まると細菌の温床となってしまうため、歯周ポケットを直接除菌することにより、細菌の繁殖を抑え、炎症を改善します。

外科手術で改善する歯周病

外科手術で改善する歯周病

歯周病の基本治療では、専用の器具を使用して歯周ポケット内の歯垢や歯石を取り除きますが、それだけでは取りきれない歯石や汚染された組織が歯周ポケット内にある場合には、歯周病の外科治療を行ないます。

歯周病の外科治療では、おもに歯肉を切開し、歯根の先端部分に付着した歯石や感染した組織を取り除く処置を行ないます。
歯肉を切開することで、病巣を目で確認しながら、取りきれなかった歯石や感染した組織をしっかりと取り除くことができます。
歯根の先端の歯石が取り除かれると、歯と歯肉がふたたび接着しやすくなるため、歯肉も健康な状態へ回復していきます。

手術といっても入院の必要もなく、ほとんどの場合、1~2時間ほどで処置は終わります。また、局所麻酔を使用して行なうため、痛みの心配もほとんどありません。

一般的な歯周病の治療方法

  • 歯磨き指導

    歯磨き指導

    歯周病治療の基本中の基本といえるのが、適切な歯磨きです。歯周病の原因は歯垢に潜む細菌であるため、お口の中で発生し続ける歯垢をきちんと取り除けるように、お口の状態に合った歯ブラシの当て方や動かし方についてご指導させていただきます。

  • スケーリング/ルートプレーニング(歯石除去)

    スケーリング/ルートプレーニング(歯石除去)

    歯磨きだけでは取り除けない歯垢や歯石をスケーラーとよばれる器具を使って徹底的に取り除きます。また、歯根の表面をツルツルに磨き上げることで、歯肉が歯根に接着しやすくなります。

  • 抗生剤による内服治療

    抗生剤による内服治療

    患者さんのお口に存在する歯周病の原因となる細菌を検査し、その細菌の除菌に有効な抗生剤を内服していただくことによって、歯周病を改善します。
    歯磨き指導やスケーリング・ルートプレーニングなどの基本的な治療と併せて行なうことで、より治療効果が期待できます。

歯周病治療のリスク・副作用
  • 基本治療で改善しない場合に行なう歯周病外科治療や歯周再生療法では、歯肉を切開するため、腫れ、痛みをともなう場合があります。
  • 治療によって歯肉が引き締まってくるため、被せ物と歯肉の段差が目立つことがあります。